■はじめに
マチルダでは国土交通省の公共測量作業規定で示されているディジタルマッピングデータファイルの読み込み表示をすることができます。もちろん3次元データとしても表示可能です。
日本国内で使用されているGISはほぼ海外製品なので読み込みを標準でサポートするものはほとんとありません。
割と昔からあるフォーマット形式なので当社も既に25年以上は使ってきていますが、初めて知った時、みた時の感想は「何とややこしい」というの気持ちと割と「がっかり」な気持ちになったことを思い出します。フォーマット内部の構造も複雑な上に、出た当時は利用者ごとに統一性というか認識率に差があるのも事実でA社で作成したものがB社で読み込んだら正しく表示できないという現実を何度も体験してきました。最近では「拡張タイプ」というのも出てきて少しマシという人もいますが、汎用性という意味ではまだまだ課題が残っている印象ですが、マチルダでは表示利用できるように改善を重ねて行っており現在にいたります。
■読み込みモード
データをGISウィンドウに読み込みするときには、2つのモードが用意されており、用途に合わせて設定のページからどちらかを選択することができます。
・少し高速(データタイプ分け)
DMデータ(拡張子DM)ごとに点、線、面、字というように分けてレイヤーを作成します。
通常モードよりも少し高速に読み込み表示します。用途としてはとりあえずザッと見る感じの時はこちらが良いと思います。具体的には1ファイルにつき、最高でも4つのレイヤーにしか分けないのと、シンボル展開をしません。また色もレイヤーごとに分けることになるので最高で4種類になります。
・通常(全レイヤー分け)
DMデータ(拡張子DM)の要素の分類コードごとに分けてレイヤーを作成します。
要素の分類コードごとにレイヤーを分けながら読み込んで表示します。レイヤーは要素ごとに分かれているので色やシンボルなど細かくされますので、少しその分スピードが落ちます。データの一部のレイヤーを他形式に変換する時や応用的に利用する場合はこちらが良いと思います。
■カスタム線種とカスタムシンボル(概要)
国土交通省の公共測量作業規定で示されている大縮尺地図記号を表示することができます。
種類は膨大にあり、とある昔、ある関係者である外国人にその話をしところ
「多すぎる。1種類の地図にそんなに必要?誰のための記号?」と聞かれたのを覚えています。
ただ国や考えはそれぞれなので、当社では日本国用と割り切って独自で作成しています。
DMデータを読み込みするプロセスの中では、要素レコードから分類コード(レイヤ、項目)を取得してその情報を利用してシンボル名を識別しています。識別されたシンボル名をライブラリに探しにいき、あればそれを割り当てて表示するという仕組みです。ただ記号の中には「図形区分」というのもあって実は縮尺が異なるごとに表現がバラバラなので全てがこの組み合わせでは振り分けできない状態になっています。(いわゆる、縮尺が1/2500ではシンボルデータですが、1/1000ではラインデータになるなどもある)
従ってなるべく汎用性を考えた作り方をしていますが、追いつかない場合は、専用でカスタマイズする必要があります。
現状で公開しているライブラリについては、
こちらにリスト化しています。
また、シンボル名の命名規則は次のようになっています。
分類コードレイヤ(2桁)+分類コード項目(2桁)+図形区分(2桁)+"00"
(例)
田 = 63110000
消火栓縦型 = 42160000
被覆線直落ち = 61110100
■カスタム線種とカスタムシンボル(使い方)
使い方としては、いくつかの方法が用意されていますので、各シチュエーションに適した方法で選んで実施してください。
(1)シンボルライブラリを使う
最も簡単でシンプルな使い方はこの方法であり、matilda.exeファイル(64bitはmatilda64.exe)と同じフォルダにシンボルライブラリ(*.ttklibsvg)を置くことです。読み込みして設定するアクセス速度も良いです。
当社が作ったものは無料で配布しています。
ラインシンボル用
tcdmlin2500.ttklibsvg
単純なシンボル用
tcdmsym2500.ttklibsvg
(2)シンボルファイル(SVG)またはシンボルファイル(CGM)を使う
以下のようにフォルダを作成して、その中に個々のシンボルファイルを置きます。そのファイルにアクセスする仕組みのものです。
この縮尺毎のフォルダの中に、svgまたはcgmの拡張子のファイルを入れていきます。svgとcgmで拡張子以外の部分で同じファイル名があった時は、svgが優先して取得されます。
この方法は、足りないものは単純に作ってファイルとしてフォルダに置くだけなので少しづつ追加して利用する時には良いと思いますが、アクセス速度に関してはストレージのスループットが1シンボル毎に発生しますので多くなればなるほど遅くなります。
■文字の字間隔
半角英数字や日本語文字なども正しくできます。
字の間隔を持たせて表示することができます(1/2字隔表示のサンプル)
■文字の縦書き表示
海外製のGISは縦書きが、通常ではできないようですが、マチルダでは、縦書きの文字列も正しく表示することができます。もちろん字間隔や角度も正確に計算されて忠実に表示されます。
強引な方法として実施していますが、縦書きの場合は文字列を1文字ずつ、内部で分割して、字間隔を正確に計算しながら相当する座標位置に配置しています。
■その他
DMデータ(フォーマット)に関してはこの「国土交通省公共測量作業規定」(国土交通省大臣官房技術調査課監修)の付録7の12ページ分しか書かれておりません。
余談ですが、当社が設立されてこのDMデータを扱おうとしたとき、この高額な書籍を購入することもできず、お客様のところで読ませてもらった記憶があります。
マチルダが皆さんのお役ち、お力になれることを願っております。